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   「ヱレジー」

 

 

停電した街なかを

ちんどん屋はすすむ

嵐のなか

寝てしまうにかぎる暗闇と横なぐりの水銀

ありったけの色をあつめて

ちんどん屋はゆく

 

私は黙ったまま

顔に滲んだ汗のうえに化粧をぬった

その女のあとをついてゆく

暮れた日と

ふれた気が手をひかれ

ちんどん屋のあとを

ついてゆく

 

ちんどん太鼓にクラリネット

降りしきる水銀

あか みずいろ きいろ 

ふかみどり 

エレジー

 

橋の上で女は言う

"坊や 帰りたかったら今しかないわ"

 

あぁ 

どうして私はこんなにも

私が煩わしいのだろう

© Masaki Inoue.
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